●中心地は溶岩の下
鹿児島県鹿児島郡桜島町(現、鹿児島市)を観光旅行しているわたし。
「昔は桜島町の中心地だったのか」
目の前には、一面に溶岩がひろがっている。
桜島町の湯平展望台をあとにしたわたしは、桜島町の桜島港に近い「大正溶岩」へやってきた。
大正溶岩は、大正時代の火山大噴火によって流出した溶岩が一面にひろがるところ。
道端にたつ案内板によると、桜島町の中心地だった横山地区などの千戸あまりの民家、役場、学校、郵便局などが火山大噴火による溶岩の下に埋まっているそうだ。
いまは、無論、建物など一切ないだけに、一面にひろがる火山大噴火による溶岩の景色にあっけにとられてしまった。
●なんでもありだ「西郷岩」、「たぬき岩」
「キイタケド、ワスレマシタ」
桜島町の大正溶岩の中に「西郷岩」とあったので、寄ってみたのだが、大きな溶岩の塊に西郷岩とあるだけで他に何も案内板などなくたまたま帰宅途中の自転車にのった高校生に聞いたら、こんな返事がかえってきた。
忘れるくらいだからたいした由来はないのだろうか。
西郷とは西郷隆盛のことで、火山大噴火による溶岩の塊の荒々しい姿が「西郷どんの顔」か「ふるまい」か「性格」か何かに似ていたのだろう。
さらに道を進むと「たぬき岩」と記された溶岩の塊があった。
どうにもわたしのようにモノを見る目がない男には単なる大きな溶岩の塊にしかみえない。
こぎつけで、名前をつけているように思える。
こうなりゃ、なんでもありだ。桜島町よ。
「きつね岩」でも「桜島大根岩」でも「桜島小みかん岩」でもなんでもやってくれ。
最高だ。絶好調だぜい♪
●観光旅行した桜島町をあとに
桜島の火山活動が収まっているせいか、そんなには、降灰がほとんどなく、快適な観光旅行である。
その後、桜島町にある桜島の火山大噴火の歴史を紹介する「桜島ビジターセンター」、立派なリゾートホテルのような国民宿舎「レインボー桜島」、恐竜のモニュメントがたつ「桜島自然恐竜公園」、桜島みかんなど地場産品をあつかう「道の駅・桜島火の島めぐみ館」など、あちこちまわったので、フェリーの発着する桜島港に着くのが、だいぶ遅くなった。
時刻は午後六時をまわっていた。
鹿児島県鹿児島郡桜島町は、薄暗く雨が降りそうなほど雲ってきた。
風も強い。
昼間の快晴とは雲泥の差だ。
黒くなった海の先には、鹿児島市街地のビルがうっすらとみえている。
黒い雲が桜島町から鹿児島市街地までをおおっている。
何とも、もの寂しい雰囲気につつまれながら、わたしは桜島フェリーにのり、桜島町をあとにした。