●桜島フェリーで桜島へ
四月上旬、平日。
きょうは原付バイクで鹿児島県の桜島を一周観光旅行してみることにする。
日々、鹿児島市内から桜島を目にしながら、まだ宮崎での大学生活以来、六年ほども観光旅行していないので向かってみる。
やはり、原付バイクや車がないと、わたしの場合、鹿児島市に住んでいてもなかなか観光旅行する機会はなかった。
桜島へは鹿児島市北部にある桜島フェリーターミナル(鹿児島港)より桜島フェリーで一五分ほど。
桜島フェリーの原付バイクの料金は片道三五〇円。
●桜島フェリーはリゾート気分
「いやー、桜島フェリーはいい」
午前、曇り空の下、JR鹿児島駅にほど近い桜島フェリーターミナル(鹿児島港)から桜島港へ向けて桜島フェリーは出港した。
目の前にそびえる桜島、横に長く延びる錦江湾、陸上では味わえない海上の風。
桜島フェリーに乗っただけでこれだけ雰囲気がかわるとはすごい。
たった三五〇円で桜島フェリーは、開放的な観光旅行気分、リゾート感覚が味わえる。
バイクも車もなく、徒歩で乗るなら桜島フェリーは、もっと安い。
桜島フェリーは、一五〇円で乗れる。
「いいよ、こりゃ」
原付バイクで野山を走ってばかりいたので海上は進む桜島フェリーはわたしにはとても新鮮。
頬を打つ風が気持ちいい。
なんといっても、わずらわしい車がいないのがいい。
狭い道路はない。
目の前には広い海が広がっているだけだ。
「やっぱ、いいわ」
だいぶ気分転換になる。
近づく桜島。
遠くなる市街地。
おもしろいなあ。
●外国の山のような桜島の頂上
「まるで外国の山をみているようだ」
巨大な岩石のような山がふたつ重なってならんでいる。手前にはもう一つこんもりとした山がそびえている。
原付バイクにまたがり、有村展望所をあとにしたわたしは、桜島の山の中腹にある観光地、旅行名所の湯之平展望台へむかった。
展望台へ行く途中、往来する車も少ない山道を登ると、正面に桜島の頂上付近がアップでみえてきたのだった。
普段、下からながめているのとはちがい、とてつもない巨大な岩が二つ重なっているような山だった。
そんな山が青空に映えていた。
道路はまったく車の往来はなく、あたりは、噴火後、植林された緑の木々が広がっている。
あまりに日本離れした荒涼とした景色に、外国にある山のように見えた。
実際にみたことはなく、テレビでみかけた程度で、ちがうかもしれないが、アメリカにあるロッキー山脈など、そんな世界に名だたる壮大な山の雰囲気を桜島の頂上は持っていた。