●鹿児島県溝辺町観光旅行日記:地上の楽園「平田岡農村公園」
「まるで地上の楽園だ」
鹿児島県姶良郡横川町のレジャースポット、丸岡公園(現、霧島市)の花見を終え、自宅のある鹿児島県鹿児島市へ帰る途中、県道五五号線を南下し鹿児島空港がある鹿児島県姶良郡溝辺町(現、霧島市)に入ったわたしは目をとめた。
左手、田畑が広がる鹿児島県溝辺町の風景の中にこんもりとした小さな丘が見えたからだ。
鹿児島県溝辺町郊外にあるその丘の上はピンク色の桜の木が数多くはえ、かげろうのようにぼんやりとして見える。
そんな幻想的な光景に地上の楽園と思ったのかもしれない。
桜の木の間からは、赤い鳥居がみえるので、個人宅ではなさそうだ。
「いってみようか」
しかし、夕方、四時過ぎなので、ここで寄り道すると、この鹿児島県溝辺町郊外からおよそ五〇キロほど先にある鹿児島県鹿児島市にある自宅へ帰りつくのが遅くなる。
原付バイクだからなおさらだし、鹿児島県鹿児島市に近づくにつれ夕方のラッシュもある。
しかし、日を改めて来たのでは、桜は散ってしまっているだろう。
「桜の咲く時期に見られるのは今しかない」
帰宅が遅くなるのを覚悟で向かってみた。
県道を離れ、ひろがる田畑の中を貫く狭い道を進むとやがて丘の上にたどりついた。
桜の木に囲まれた丘の上は、真ん中にゲートボール場がひろがり、それを囲むように、民家のような集会所やシソーなどの遊具、県道からみえた赤い鳥居、それから、神社があり、その先は木々におおわれた小さな山になっていた。
隅にある案内板をみると鹿児島県溝辺町にある「平田岡農村公園」とあった。
園内にある東屋にはテーブルとイスが置かれている。
ここで焼酎でも酌み交わすのだろうか。
公園には人の姿はなく、野鳥の声がひびくほど静か。
「こういう静かなところで暮らせたらいいなあ」
わたしは、田舎暮らしにあこがれている。
また、日々、鹿児島市街地の家が密集するなかで寝起きし、となりのクシャミやオーディオの音が聞こえてくる、せわしいところに住んでいるので、鹿児島県溝辺町のような静かな山村へのあこがれがある。
帰りぎわ、ヘルメットをかぶって出発しようとするも惜しくて、また、ヘルメットを脱いで雰囲気を味わうほど静かな鹿児島県溝辺町の平田岡農村公園が気に入ってしまった。