鹿児島美山観光旅行、鹿児島県日置郡東市来町(現、日置市)

薩摩焼の里「美山」へ風景を求めに

四月上旬、平日昼下がり。

きょうは鹿児島県日置郡東市来町美山(現、日置市)にやってきた。

鹿児島県東市来町東部にある山里、美山は、400年を誇る薩摩焼の里で、沈寿官窯など有名な窯元をはじめ、現在13ほどの窯元がある。

窯元祭り陶器市のさいは、観光旅行客も多く訪れる。

わたしは陶芸いわゆる「やきもの」に興味はまったくない。

しかし、山里をみて歩くのが好きなわたしは、美山の「美しい山」という地名にひかれた。

美山とは一面に田畑が広がる中に窯元が点在し、稜線の美しい山がつらなる風景をわたしは思い浮かべ、美山へやってきた。

鹿児島県の美山に着いたわたしの目の前には、一直線にのびる道路に沿って立派な門構えの薩摩焼きの陶工の屋敷がつらなっている。

通りにある美山の案内板に目をやると、わたしにとっては堅苦しい窯元とはちがい、「美山陶遊館」という道の駅のような誰でも気軽に入れる施設があるようなので、風景を楽しむ前に最初に向かってみる。

通りから少し入ったところにある美山陶遊館は、鹿児島・美山の薩摩焼の窯元の作品を展示している施設である。

入ると、受付の女性がわたしの様子をうかがっており、話しかけやすそうだったので、いくつか気になったことを質問してみた。

最初に、東市来町のキャッチフレーズ「こけけ王国」について聞いてみた。

館内に貼ってある東市来町の観光ポスターには「こけけ王国」の文字がおどっている。

「こけけ王国とは鹿児島弁で、『こけ』は『ここに』、『こ』は『おいで』で『いいところだからここにおいで、いらしてください』という意味です」

そうか、鹿児島弁だったのか。

「こけけ」とは「こっけい(滑稽)」に近い意味で「おもしろ、おかしい」という意味かと思っていた。

さらにもうひとつ。

美山で開窯した陶工は、慶長三年、第一七代薩摩藩主島津義弘公が、朝鮮から連れてきた方々だそうで、慶長八年に着船した串木野からこの美山に移ってきたそうだ。

なぜ港町である串木野から山里の美山へうつったのか気になり、その理由を聞いてみた。

「理由は存じておりませんが、陶工の故郷、朝鮮の景色に美山が似ていたという説があります」

わたしは美山が陶芸をするのに良い土がとれるからだと思っていたがどうやらそれはちがったようだ。

美山陶遊館をあとにすると、目の前には、竹林がひろがっていた。

陶工の故郷もまた竹林が多かったのだろうか。

鹿児島・美山の美山陶遊館をあとにしたわたしは、目的である山里の風景を楽しむことにした。

屋敷が連なる集落を歩き、それからバイクに乗り、集落のまわりの田園地帯を走ってみた。

しかし、美山は、山の中の狭い平地に陶工の屋敷が密集するところで、想像していた「一面に田畑が広がる中に窯元が点在し、稜線の美しい山がつらなる風景」とは異なっていた。

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