●全国各地の山々にあった森林鉄道、森林軌道、林用軌道
森林鉄道をご存知ですか? 。
森林鉄道は、山々で伐採した木を麓の街や港まで運んだトロッコ鉄道です。
規格の違いにより、森林軌道、林用軌道と呼ばれるものもありました。
北海道、東北から、関東、中部、東海、近畿(関西)、中国、四国、九州まで全国各地の山々にあった森林鉄道、森林軌道、林用軌道は、小さなディーゼル機関車などが木を満載したトロッコを牽いて走りました。
しかし、エネルギー構造の転換などにより林業の衰退が始まり、それとともに森林鉄道、森林軌道、林用軌道もほとんどが昭和30~40年代に廃止、廃線となり、姿を消しました。
現在は、鹿児島県屋久島など、わずかに見られるのみです。
●木炭瓦斯代燃機関車という変り種のガソリン機関車があった森林鉄道
この森林鉄道の魅力は様々ありますが、その一つに車両のおもしろさがあげられます。
ワンパク坊主のような丸い目をしたモーターカー、米国ボールドウィン社製の勇敢な顔だちの蒸気機関車、森林鉄道とは思えないほど大きな箱型のディーゼル機関車、小型機関車ファンにはヨダレもののスマートな車体の加藤製作所製・酒井工作所製のガソリン機関車やディーゼル機関車などなど、様々な表情の車両が全国の山々で活躍していました。
その中のひとつに、木炭瓦斯代燃機関車という変り種のガソリン機関車がありました。
これは、戦時中、貴重となったガソリンを節約するために、ガス発生炉が付けられた機関車でした。
木炭を不完全燃焼させた時に生じる一酸化炭素を燃料にしようというものでした。
そのため、運転室脇には、不恰好な筒状の大きな装置がついていました。
しかし、牽引力が弱いため、ガソリンとの併用が多かったそうです。
このように各森林鉄道によって実に様々な表情の車両が存在していました。
華やかな特急電車が往来するJR、私鉄にはない、個性的な表情の車両が多数ありました。
●インクラインなど様々な路線の形状があった森林鉄道
また、路線の形状も森林鉄道、森林軌道、林用軌道の魅力の一つでした。
高い山を登るために設けられたトロッコが方向転換する何段もの「スイッチバック」、まるでジェットコースターのような何段もの「ヘアピンカーブ」などなど、アッと驚く個性的な路線の形状が多くみられました。
なかでも、一番興味をそそるのが、「インクライン」という施設でした。
これは、山の高低差が激しい場所に用いられた方法で、山の斜面にそのままレールを敷き、ワイヤーでトロッコを押し上げたり、下ろしたりするものでした。
ちょうど、インクラインの中間地点は、上下のトロッコが交差できるように複線になっていました。
インクラインは、ケーブルカーに似たようなもの、といえば、おわかりいただけるかと思います。
このように各森林鉄道によって実に様々な形状の路線がありました。
森林鉄道、森林軌道、林用軌道は、山奥深くを走ったいたせいもあり、通常の一般鉄道では考えられないような路線の形状が多くありました。
●ユニークな車両、路線がいっぱいの全国の「森林鉄道」を旅してみませんか?
こんな、ユニークな車両、路線がいっぱいの森林鉄道をご覧になってみませんか? 。
北海道、東北から、関東、中部、東海、近畿(関西)、中国、四国、九州など全国各地に存在した森林鉄道が「全国森林鉄道」(著者:西裕之/発行所:JTB/JTBキャンブックス)として、一冊の本となっております。
この「全国森林鉄道」をお読みになりますと、郷土史を探してもみつからないような戦前、戦後の貴重な森林鉄道写真と、各森林鉄道の歴史がわかる詳細な本文で、全国各地の森林鉄道の姿を楽しむことができます。
これ一冊で全国のユニークな顔をした森林鉄道の車両や、驚きの連続の森林鉄道の路線の姿を楽しむことができます。
巻末には、資料的価値の高い全国の森林鉄道のデータを収めた一覧表がついておりますので、森林鉄道、森林軌道、林用軌道のファン、マニアは、ぜひ手元においておきたい一冊です。
興味のある方は、絶版や売り切れとなり入手困難となる前に、今すぐこの「全国森林鉄道」 をぜひ、読んでみてはいかがでしょうか。